化学的根拠はないのに何故か信じてしまう 日本の迷信⑪

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星がまたたくと日中は風が強くなる

数ある天候に関することわざや迷信の1つに、「星がまたたくと日中は風が強くなる」という言い伝えがあります。これは、上空で強い風がふいていると空気の密度が変動し星の光が屈折するため、星がまたたいて見えるからです。昔の人は星がまたたいている翌日は山や海に出るのを控えたと言われています。

このように自然現象や動物の様子から天気の変化を予測することを観天望気といい、天気予報がなかった時代、昔の人は身の回りの変化から天候を予想していました。

桜の色が薄い年はいつまでも寒い

桜のように短期間で咲き散ってしまう植物は気候の影響を強く受けると言われています。この迷信にある「桜の色が薄い年はいつまでも寒い」は、実際には、「寒い日が続いているので桜の色が薄くなる」という現象を表したものです。

日中晴れて気温が高い日が続くと、桜の花びらは濃く鮮やかなピンク色になるのに対し、日中曇りや雨が多く気温が低い日が続くと、桜の花びらは濃くなることができず白っぽく薄いピンク色になると言われています。

カエルが鳴くと雨

日本には昔からカエルが鳴くと雨が降るという言い伝えがあり、梅雨の時期になるとよく話題になる迷信の1つです。この迷信の由来は、カエルは全呼吸量のおよそ半分を皮膚呼吸していることに関係しています。低気圧が接近し空気中の湿度が高くなると皮膚の薄いカエルは皮膚呼吸がしやすくなるため、より活動的になり大きな声で鳴くと言われています。このように雨の気配に敏感に反応して鳴くことから、その鳴き方を「レインコール」や「雨鳴き」などと呼んでいます。

山にかさ雲がかかると雨

かさ雲ともは、高い山の山頂付近に現れる笠をかぶったようにかかる雲をいい、日本では富士山のような孤立峰でよく見られます。これは、南の暖かく湿った空気が山を越える際断熱冷却されて発生した雲のことです。つまりかさ雲が出来るということは、低気圧や前線が近づいている証拠であり、雨の兆しと考えることができます。

これも生活の知恵として昔から伝わる信憑性の高い迷信であり、雨を予測する観天望気の一つとして多くの人に信じられています。

太陽(月)がかさをかぶると雨

この迷信ははじめて聞きました。太陽の周りを囲むように出来る輪を「暈(かさ)」と言います。この暈は空中の氷晶によって太陽(月)光が回折・散乱し現れるもので、氷晶を多く含む巻雲や巻層雲が発生している時に起こりやすい自然現象です。この巻層雲は、太陽や月を覆う薄いベールのような雲のことで、前線や低気圧が近づいている時に出来ることが多いと言われています。ここから、太陽(月)が暈をかぶると雨が降りやすいと昔の人は考え、次第に迷信化していったと言われているそうです。

櫛(くし)をまたぐと嫁に行けない

江戸時代に使われていた装飾を施した櫛はとても高価なものであったため、髪を手入れする高価な道具が畳に置かれてあり、それをまたぐような女性はだらしがなく嫁に行けるわけがないと戒めの意味を込めて言い伝えられ迷信だと言われています。

また、くしは御髪(みぐし)とも呼ばれ、「髪」は「神」と掛けられているため神聖なものとされていました。そのため、櫛をまたぐ行為は罰当たりであり嫁にも行けなくなるとう解釈があったとされます。

からしは意地悪に練らせろ

からしは「練る」という作業によって辛み成分が増し美味しくなると言われています。強くかき混ぜれば混ぜるほど辛み成分が多く生成されるので、意地の悪い人がイライラ怒りながら練ったほうがいいと昔の人は考え、この迷信が生まれたと言われています。この他にも昔から、しっかり練りなさいという意味で「からしは怒って溶け」とう言い伝えがあります。類語には、まろやかな辛みを美味とするわさびに対して「わさびは笑ってすれ」という言い伝えがあります。

ご飯をこぼすと目が潰れる

日本人の主食であるお米は、昔はなかなか口にすることができない高価なもので、江戸時代にはお米を年貢で納めるなど貨幣と同等な貴重な農作物でした。それはお米を育てている農家も同じことで、祭りの時だけお米を御供えし神に感謝してお米を頂いたといいます。

その後「米は天照大神の御眼である」などと言われ、お米には神様が宿ると信じられるようになり、これほど大切なものを粗末に扱うとは罰当たりだという戒めの意味からこの迷信が生まれたのではないかと言われています。

最後に

日本には、まだまだたくさんの言い伝えや迷信があると思います。全国的に広まっているものや各地方に根強く生き抜いているもの各ご家庭内だけのものなど様々です。そんな言い伝えや迷信をもっと共有出来たら面白いかもしれませんね。私も申し越し調べていきたいと思います。